[福祉情報誌第69号2004年4月10日号より抜粋]
支援費制度の動向
昨年4月、支援費制度がスタートしましたが、地域格差は依然として大きく、また、ホームヘルプサービスは、地域で生活する障害のある人が積極的にサービスを活用し、国の予算の見込みを大幅に超えた結果、支援費が不足し、ホームヘルプサービスの国庫補助金14億円という不足分を市区町村に負担してもらうという状況になってしまっています。
◆不足分のホームヘルプサービスの国庫補助金は?
「来年度のホームヘルプの予算は342億円で、すでに不足することが見えている現状にどう対応するのか?」という、当事者団体からの指摘について、厚生労働省は、「国庫補助基準については現状のものが良いとは思っていないので、今年の実績や障害者団体・自治体などの意見を聞きながら在り方検討会で論議いただく。」「4月から事業運営の工夫と言うことで単価の引き下げを行ったし、10月からも様々な見直し工夫をしていく。サービスの質と量を確保しながら制度の安定的な運用を図っていく」と考えている。何とも先の見えない、曖昧な言い方で、不安が募るばかりだ。市区町村の負担がまた増えることになれば、財源の問題から必ずサービス利用の上限問題が出てくるのではないだろうか?
◆支援費制度と介護保険制度の統合について
厚生労働省の「社会保障審議会障害者部会」は、今年3月、介護保険と支援費制度の統合についての審議を開始しました。介護保険制度改革の方向性を示すとされる6月に合わせて意見集約する方向。
●各地の行政の動き
東京都は、介護保険制度との統合は必要という方針で提案書をまとめ、厚生労働省に提出している。また、知事や学者、経済人らでつくる「地方分権研究会」が、同研究会の「障害者支援プロジェクトチーム」に参加している、神奈川県、宮城県、岐阜県、和歌山県、鳥取県、佐賀県の334市町村を対象に統合についての調査を行ったところ、64%が「統合に賛成」と答えている。
●障害者団体「DPI日本会議」「全国自立センター協議会(以下、JILと略)」の動き
JILが当事者対象に行った緊急アンケートで、当事者の85%は支援費制度と介護保険の統合に反対していると言う結果が出た。以下は、上記の団体が厚生労働大臣へ提出した考え方です。
DPI日本会議の介護保険と統合にむけてのスタンス
(前略)現状の協議の内容を詳細に検討したところ、現段階ではDPI日本会議及びJILは介護保険への統合については、以下のような疑念が解消されない限り反対の立場をとらざるを得ないことを表明いたします。
1.自立の理念が介護保険では介助を使わなくなることが自立なのに対して、支援費制度においては成長の過程で失敗から学んでいくことを含めた自己選択、自己決定の自立という意味で全く異なる。これをどのように実質的に保障していくのか示してください。
2.障害者が介護保険に入った場合に応益負担になりますが、資産形成をしてきた高齢者に比べ年金手当てしか収入のない人が大多数を占める障害者と同列に扱うことには無理があります。
3.介護保険のホームヘルプを基礎部分として、それを越えて必要なホームヘルプ2階建て部分として、税金で行うという案が出ていますが、2階建て部分が税金で賄われるならば、9割以上の市町村では1階建て部分のみとなる可能性が高く、命のかかった介助を受けての生活を不安定な基礎の上におくことができません。
4.介護保険においては、35万円の上限を超えてサービスが必要な場合、命が不安な状況に陥っても被保険者の負担による上乗せ部分を作る以外に法的な救済手段はありません。一方支援費制度においては、行政不服審査請求を出す法的救済措置が残されています。介護保険との統合においてこのようなセーフティネットが張れるかお答えください。
5.介護保険では79項目のアセスメントがある。自立と社会参加の部分を生かせる方法は、支援費制度の当事者のニーズを尊重するアセスメント以外にはないと考えます。
6.介護保険においては、ケアマネジメントの義務付けです。障害者はケアプランを自分で組み立てる権利を有しています。
7.介護保険はホームヘルパー3級以上2級資格を基本とします。支援費制度発足にあたっては、みなしヘルパー制度や日常生活支援などの類型に基ずく新たな介助者資格制度を設けました。また、ガイドヘルパー(視覚障害 全身性障害 知的障害)は障害独自の資格制度です。介護保険制度に統合されることはこれらの制度はなくなることを意味しており、1
サービス 2 制度が実施されないかぎり解決の方法はないと考えます。
★個人的感想
昨年スタートしたばかりの「支援費制度」、まだまだ動き始めたばかりの市町村もあるのに、未来がもうゆらゆら揺れています。とても不安です。自分の責任で自分で選び、福祉サービス提供者と「契約」すると言う、利用者主体のこの制度は、まだまだ改善点はあるものの、これまでの当事者運動の成果と言えます。しかし、革新的な動きをしている都道府県の知事の多くは、財源の問題で介護保険への統合を押し、逆に、当事者団体は、統合されることで自立生活が困難になる人がいると、現状での統合に反対しています。サービス利用に上限のある「介護保険」と、上限のない「支援費制度」が統合されると、「上限のある」方にあわせてしまうことが問題です。また、「高齢者の社会参加」と「障害者の社会参加」のとらえ方が違うことが私には理解できません。例えば、介護保険では、週に一回友達と街へショッピングに行くのが楽しみという人の付添い支援はメニューにありません。支援費制度ではあります。
この違いは何でしょう?私は、統合などという前に、高齢者も障害のある人も、人間らしく、自分らしく生きていくためには何が必要かをしっかり国民と議論し、財源確保の問題も含め、実現に向けて計画を立て、示すべきだと思います。
● 無年金障害者の問題
88年までは任意加入だった国民年金の保険料を支払っていなかったことを理由に
障害基礎年金を不支給とされている人が、全国にたくさんいます。
そして、「それはおかしい!」と裁判をおこしている人たちもたくさんみえます。
その一つで首都圏の元大学生が
賠償を国に求めた訴訟の判決がおりました。
内容は、
「障害を負った学生が保険給付を受けられるよう
立法的手当てをしないまま放置したことは
法の下の平等を定めた憲法に違反する」と言うもので、
国に計1500万円の賠償を命じました。
しかし、残念ながら国がこの判決にたいし控訴したため、
まだまだ道は険しそうだ。
[福祉情報誌第67号2003年12月10日号より抜粋]
〜補装具とは〜
身体障害者の失われた部位や障害のある部分を補って、
必要な身体機能を獲得して、
日常生活を円滑に行うための道具。
種類 人工喉頭、眼鏡、盲人安全つえ、義眼、点字器、補聴器、義肢装具、座位保持装置、車いす、電動車いす、座位保持いす、起立保持具、歩行器、頭部保護帽、頭部保持具、歩行保助杖、ストマ用装具
〜日常生活用具とは〜
在宅の身体障害児・者、知的障害児・者の日常生活の便宜を図るための道具
種類 浴槽、便器、特殊便器、特殊マット、特殊寝台、ワードプロセッサー、特殊尿器、入浴担架、入浴補助用具、体位変換機、重度障害者用意思伝達装置、携帯用会話補助装置、移動用リフト、歩行支援用具、盲人用テープレコーダー、盲人用時計、盲人用タイムスイッチ、点字タイプライター、盲人用電卓、電磁調理器盲人用体温計、盲人用秤、視覚障害者用拡大読書器、点字図書、盲人用体重計、歩行時間延長信号機用小型送信機、点字ディスプレイ、聴覚障害者用屋内信号装置、聴覚障害者用通信装置、文字放送デコーダー、透析液加湿器、酸素ボンベ運搬車、ネブライザー、電気式たん吸引器、火災警報器、自動消火器
医療情報 共同通信の記事より転記
筋ジスを合成DNAで治療 神戸大が世界初
神戸大医学部(神戸市)の松尾雅文教授らは28日、
デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に
合成DNAを使った治療を29日から実施すると発表した。
効果的な治療法が見つかっていない
この型の筋ジストロフィーの進行を食い止め、症状緩和を目指す世界初の試みという。
松尾教授によると、患者は小学4年男児(10)で、
筋肉を形作るたんぱく質「ジストロフィン」をつくる遺伝子が欠けているため、
筋肉が衰え、
現在は支えがあってようやく立てる状態という。
この治療は、患者に人口合成したDNAを一週間置きに計4回投与し、
遺伝子の一部を改変することで、正常なジストロフィンと一部が違うが、ほぼ同じ
機能を持つジストロフィンをつくらせ、症状を軽くするという。
神戸大医学部の倫理委員会は2003年3月、この治療の臨床研究を承認。
松尾教授らは同年11月から治療を始める予定だったが、
合成DNAに混入物がある疑いが浮上し、治療を延期していた。
◆ 神戸大学医学部付属病院 п@078-382-5111 (代表)
[福祉情報誌第66号2003年10月10日号より抜粋]
日本旅行は、インターネットでバリアフリーの宿が検索、予約できるサービスを7月に開始しました。
洗面台の高さ、ウォッシュレツトの有無、ベッド間の間隔、貸し切り風呂の有無まで項目があり、トイレやお風呂の写真まで事前に見て確認することができます。
まだ件数は少ないですが、なかなかです。
いちどのぞいてみて下さい。
http://www.yadoplaza.com/barrierfree/
E T C で障害者割引が実現!
割引証明書は廃止に。
ノンストップ自動料金収受システム(E T C)では
これまで、対応機械を購入しても障害者割引が適応されませんでしたが、
来年の1月20日から適応されるようになりました。
具体的には、
事前に福祉事務所で E T C のカード番号、車載器、車両などを登録します。
(2年ごとに更新が必要)
12月1日から登録ができるので、
これに伴い、これまで役所でもらっていた「割引証明書」は
同日で廃止となります。
また、これから有人料金所を利用する場合は、
身体障害者手帳や療育手帳のみ示すことで割引となります。
横浜市がボランティア制導入
横浜市交通局は、
お年寄りや体の不自由な人がバスに乗る際に
介助を行う「バスボランティア制度」を
JR桜木町駅前のバスターミナルに導入します。
こうした制度は全国初の試みで、
成果を踏まえ市内の主要ターミナルに
広げていく予定とのこと。
ボランティアはターミナルに待機し、
乗り場案内、手荷物の運搬、乗車の手伝いなどを行います。
問い合わせ: TEL 045-671-4073
厚生労働省は来年度から、在宅でIT (情報技術)を活用しながら働く重度障害者
の支援のため、新たな事業に取り組みます。
国等が、社会福祉法人や非営利組織(NPO)などに助成し、
民間の活動を支援することで、障害者の自立促進を図る方針。
ホームページ作成などIT関連の仕事を受注して障害者に担当してもらうほか、
情報機器の貸与、実践的な技術指導を行い、仕事の進め方や作業環境、
職業生活を維持するための相談にも応じます。
来年度予算の概算要求:20ケ所分、計1億円
「ともに道をひらく」
福祉車両の種類、使い方、自動車業界の取り組みなどを紹介した冊子ができました。
各メーカー別主要装備一覧表は、手動装置、足動装置の取り扱いなどが一目でわかります。
無料で送ってもらえるので、欲しい方は下記へ。
社団法人 日本自動車工業会
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル
広報室 TEL03-5219-6655 FAX03-3287-2073